(2019/09 更新)    
どれほど bikeE なのか 〜 画像見比べてもよくわからないけれど想像するのは楽しい
おことわり 〜社名は BikeE が正しいようですが、本サイトでは車体ロゴの bikeE にて表記しています。
製造元/取扱い 価格 車重 販売歴
bikeE AT-3.0 GIANT/ミズタニ自転車 \155,000+税 13.2kg 2002.8 bikeE社倒産
Type-R Pacific/ミズタニ自転車 \175,000+税 16.5kg 2003.11〜(2010)?
bikeE のデータは シンプルウェブ http://www.simple-web.co.jp/BikeE.html より
“bikeEの正統な後継車” とか、“bikeEと同じジオメトリー” とか言われていますが、
本当なのでしょうか?
 
bikeE社倒産後の一年で全てが準備されたのであれば、恐ろしく拙速に事が運ばれたことでしょう。
 
 実車比較は無理なので、画像を弄って遊んでいます。
パースがかかったようなスラントしたデザインのせいで、写り具合が曖昧で、
いまひとつ画像に信頼を置けないもどかしさが払拭できませんが、
まぁ、お遊びということでご容赦ください。
   先に結論を申し上げますと
bikeEよりもBB高が低い これは禍根 !
 
「bikeE と似た乗り味」で済まされてしまうため表面化しませんが、走る実力の差の要因がここにあります。
 
フォークオフセットはType-Rの方が大きいらしい 大して影響なさそうです

 ・・といった違いしかありません。
 軽く言ってしまいましたが、車体にどのような設計の意図が込められているか、が大違いです。
見た目には奇妙さが無く品質感も高そうな Type-R ですが、
bikeE を肯定的に克服し損なって、何が何だか分からんものになっています。
先達を軽く見過ぎて身上を潰した二番煎じ、というのが真相のようですよ。
bikeE はベーシックなCTを http://www.advclinical.com/bikee_for_sale.htm から、
Type-R は中古車を扱う業者さんのサイト(URL失念)から画像を失敬しています。  
(本来の比較対象は bikeE AT とすべきなのですが、比較に適した画像を見つけられませんでした)
   まずは全体を眺めて 〜ハンドルポストと背もたれとフレーム
(前項の画像を後輪基準で重ねています)
(ハンドルポストを合わせています)

 スケールを合わせて重ねてみました。
露骨に丸写しの様相ですが、全長差 (4cm) が出ませんでした。(上画像)
撮影条件(焦点距離、被写体との位置関係、機材の性能、等)が異なっている以上、仕方がありませんね。
基本的にこのような比較検討に耐えるような均質な画像ではないことをご了承の上、私の与太話にお付き合いください。

 上画像ではハンドルポストの角度(ヘッド角)が異なっているように見えるのですが、
下画像から同じと判断すべきでしょう。
また、前輪のずれは、フォークオフセット等の違いよりも画像の歪が大きく影響しています。
 どうもBB位置とチェーンリングのサイズ以外は、まんま bikeE様様のようですね。
チェーンリングはこれほど大きさが違うと、どちらかがおかしいんじゃないかという気がしてきますが、
Type-R は、Type-F とお揃えにして Tartaruga 感を演出、といったところでしょうか。
また、鉄骨建設部材を連想させる bikeE のアメリカンなモノフレームに対しては、
Type-R は細木を組み合わせた日本の伝統建築がモチーフであると主張し、
bikeE AT のエアサスに対しては、Type-R はエラストマー(のちにコイルサスに変更)と対照的です。
Vブレーキの角度の取り方(フレームに平行か、車軸に向けるか)も、前後逆に見えます。
 
 とにかく筋の通ったやり方というか 見事なすり替え というか。
ひょっとしてパロディーでしょうか?
 
 しかし一つだけ、ディスクブレーキマウントはRだけで、bikeE にはすり替え対象がありません。
ハンドルポストの伸縮部にクイックを使用したり、束ねたケーブルをハンドルポストに沿わせなかったりと、
とにかく労を惜しまず違いを捻出しているのですが、
bikeE をなぞり直すのをやめてマウントだけというのは妙な気がします。 怪しい。     こちらで考察》
 bikeE RX です。
(https://bicycleman.com/used-bikee-rx-silver/ より)

 見様によれば、
中継チェーンリングを
アイドラに変えれば Type-R です。

ほんとうに RX まで参照して
《キックバック》に目をつぶった
のだとすれば、ある意味ご立派。
   フォークはType-Fの長さ違い
(2024/11 訂正)


(Type-F ver. 1.55 と私の Type-R をタイヤ外径でスケール調整し、車軸を合わせて重ねています)
なぁ〜んだ、Type-F のまんまじゃないか !
 
 ディスクブレーキ仕様の Type-F DX のフロントフォークをねじ込んだだけのように見えますね。
もう条件反射的に「やりよったか」と思ってしまいましたが、、、
むちゃやろ〜
フェンダーは Type-F、Type-R 共用となっています !

 FとRのタイヤ外径の半径差は 23mm 程あります。
いくら何でもフェンダーを共用するのであれば
ブレード長まで同じという訳にはいきませんから、
16in.に合わせた股下寸法に変更されています。
 
 再利用ではなく専用設計し直したフォークが、
どうしてディスクブレーキ兼用仕様なのか、
については 《こちらで考察》
 
          (画像はType-F/本家サイトより)
   フォークオフセットが違うらしい
 フロント周りを重ね合わせてみました。
フォークオフセットはRの方が大きいようですね。
 
  にもかかわらず、
 全長はRの方が短くなっています。
 何だか面倒ですねぇ。

 
  フレーム上面を合わせた結果、
 ホイールが上下にずれました。
 フレーム上面の高さは
 Rの方が僅かに高いということになりますが、
 そこまで読み取れる画像の質ではありませんので、
 真偽のほどは不明。
 トレイルとフォークオフセット
(2025/01 訂正 )  

 私の Type-R。 タイヤは 16×2.0。
 bikeE CT。 タイヤは 16×1.5。
        (画像のヘッド角はどちらも 60°に合わせていますが、スケールは未調整です)
 フォークオフセットの違いによるトレイルの差は、直進安定性や操縦性に影響を及ぼします、、、
 
・・・・でも、目くそ鼻くそか?

 たぶん、そやろ。
たったのじゅうろくいんちやで。 気持ち次第や。
ロングホイールベースの低重心でテールヘビーなやつが、こんな程度で差が出るわけないわ。

ヘッド角60°でじゅうろくいんち、それだけで終わっとるんちゃうか?
   bikeEのBB位置

 (その一) bikeE CT のヘッド周り
 
恐ろしく究極な位置にBBが据えられています。
溶接が大変そう。
車両をコンパクトに纏めようとした、
設計者の理想を具現化する職人魂の域。
 
 
 
 
(画像はヤフーオークションより)

 (その二) bikeEのBB位置の変遷
 
左は上と同じ初期タイプのモデルですが、
右はリヤのアームがボルトオンになったモデルです。
bikeE のBB位置に関しては、CT初期型と、
それ以降の改修型ということになるようです。

左) http://www.ypedal.com/Cyclone2.htm より
右) http://8rinan.blogspot.jp/2013/07/bikee.html より
 フレームをヘッドチューブ溶接部とBBハンガー溶接部とに 極めて単純に直角区分化したかのようなBB位置ですが、
BBハンガーを溶接し易い位置まで下げて、ペダルが前輪と干渉しない位置まで後退させたと見るべきでしょうか。
ヘッドチューブも上下のワン部が膨らんだ段付きのものからストレートなものになり、
機械的にすっきり整理されてしまったようですね。

 生産性向上が目的と思われますが、かなり机上操作っぽい変更ですね。
ハンドルが遠くなるのが痛いところでしょうか。

 BB位置変更は、単に位置を変えただけなのか、
BB前方のフレームを延長したもので、ホイールベースも伸びているものなのかは、不明です。

      (CT 初期型)        (改修型)
  フォーク長の短縮

BB位置変更に伴い、フォーク長が短縮されています。
画像左側が CT初期型、右側が以降の改修型です。
前輪と足先のクリアランスの調整か、
BB位置の後退に伴い、改修型の
フォークの左右ブレードが溶接されている直管部は、
初期型よりも短縮されています。
直管部の余分は全て切り詰められ、
溶接部を残すのみとなっています。

 フレーム先端の高さが低くなりますが、
車体後半部もそれに合わせて
低く調整されているのでしょう。
   BB位置の比較 〜ここが違えば走りが変わる はず
 当たらずといえども遠からずな BB位置の画像からの推定
色々な画像を見比べて推定したBB位置で、どう見てもそれぞれはこんなものではないでしょうか。 (CT は初期型のもの)
     左図は上の三つをフレーム上面ラインを合わせて合成したもので、赤線は bikeE のフレームラインです。
右図は各BB位置の距離 (mm) で、Lは点間距離、H/Wは垂直/水平距離です。   
 
● AT よりも 42.1mm低いBB高がRの漕ぎの効かなさの根因です。
漕ぎに直結するはずの《足元の差》=《座面とBB間の落差》にこれだけの違いがあるのですから、Rの致命傷です。
開放的なライディングスタイルがそれをうやむやにしています。

● BB位置の違いから、ハンドルは AT よりもRの方が 2cm 程度近く、CT よりも 1cm 程度遠くなりそうです。

 ※ H/Wはヘッド角によって変動します。
   画像に合わせて作画した結果、ヘッド角は60°のようですが、メーカー公称値ではありません。
 ※ 座面とBB間の落差については、フレーム上面からの座面高さの違いも考慮せねばなりませんが、こちらは不明です。
 ※ 作画結果では bikeE の角フレーム材の高さは 90mm、AT のBBはそれの 4:6 の位置、
   角フレーム材の角度は 7°となりましたが、真実や如何に?

 
 どれが一番?

 上の結果から、Rと AT を比べれば、
「AT の方が確かに速いが操作性にやや難あり」といった印象になりそうですね。

 CT(初期型)はどちらもより有利で、「良きbikeE」の見本といったところかもしれませんが、
Rや AT には通用する “適当” という公差が適用できない、真面目に突き詰められた部分の折り合いがありそうで、
そこの評価次第な気がします。
 bikeE の CT 初期型と AT の違いはどうなってるの?
 
 上で調べたBB位置の情報から、上図・左のようなメインフレームの延長とフォーク部の短縮が行われたとすれば、
この部分で車体全長は 2.7cm 伸びます。 CT 改修型の全長はこれを含めて 170cm です。
AT はさらに車体後半部で 5cm 延長されており、全長 175cm となります。
 
 上図・右はヘッドチューブとBBハンガーの溶接部を直角に区切ってみたもの。
こちらの方が単純明快でよろしいでしょうか?
   Type-RのBB位置
(2024/10 追記)


● AT(赤色・46T)
● Type-R(青色・56T)
● Type-RE(緑色・48T)
チェーンリング(実線・チェーンのピン位置)と、
チェーンリングカバー外径の予測(破線)
 (AT のカバーはチェーンと面一?)
 (RE のカバーはチェーン2重巻きで面一?)

 
 BB の位置は AT に倣い、
おそらく設計主体であろう Type-RE のカバーが
ヘッドチューブと面一になるように決められている
・・・ように見えますね。
   スペックの差をどう説明できるか 〜bikeEでない部分の決算
(2024/11 訂正・追記)
全 長 (cm) ホイール
ベース (cm)
前/後タイヤ
(ETRTO)
フォークオフセット
bikeE CT 170 127 1.5 / 1.75
(38-305/42-406)
(Rよりも小さい)
bikeE AT 175 (69in.) 132 (52in.)
Type-R 174.0 --- 1.75 / 1.75
(47-305/47-406)
( bikeE よりも大きい)
(bikeE のデータは シンプルウェブ http://www.simple-web.co.jp/BikeE.html より)
(bikeE のタイヤには 40-305/47-406 の組み合わせもあるようで、Web情報も錯綜しています)

執拗な bikeE 踏襲ぶりを破り、全長に 1cm の誤差が生じています。 微妙〜。
 本当はどれくらい違うの?
 Type-R の全長公称値は 1740mm なんですが、bikeE の数値って inch と cm のどちらが正なんでしょう?
 どちらにしたところで四捨五入でしょうから、数値表記からはどの程度異なるのか判断できませんね。
 どこが違うの?
 Type-R のホイールベースが切り良く 1300mm であれば、その全長はおよそ 174cm になります。
    (今思えばノーマルサスの時に実測しておけば良かったのですが、後の祭り。 毎度 !
 
◆ 前輪の空車時半径は 無印良品16型の実寸から 195mm。
 《タイヤ周長ガイド》では 16×1.75 の周長 1195mm 外径 Φ380.6
 よって《タイヤ変位》相当の補正量= 4.7mm(1.75 の場合)
◆ 後輪の空車時半径は 次の計算から 246mm。
 《タイヤ周長ガイド》より 20×1.75 の周長 1515mm 外径 Φ482.5   482.5÷2+4.7=246
 
◆ 全長=195+1300+246=1741mm
  バンザ〜イ !
   bikeEはひとまずおいて、このBB位置がもたらす前輪とクランクの関係を見てみましょう
側面視ではクランクの軌跡は前輪と被りません。
 
 画像は私の Type-R で、
タイヤは BIG APPLE (2.0)、
クランクは SORA 165mm です。
ハンドルを切れば前輪とクランクが干渉します。
 
 ここまでこじる状況はありませんから、
前輪との現実的なクリアランスは十分で、
足をヒットさせることはありません。

 スローな極小旋回時でも
前輪切れ角の制約を受けずに漕ぎ続けられますから、
車体のコントロールが楽です。
Vブレーキ(TEKTRO 920AL)とのクリアランス。
設計者はここのクリアランスを気にしています。
 
 このVブレーキはアームが少し短い BMX用で、
リヤは別銘柄の LEE CHI TX118 という一般的なもの。
フレキシブルなインナーリードパイプと合わせて
やや強引な切り抜けようです。

 ノーマルのクランクでのクリアランスは、
かなり厳しそうです。
フロント周りの設計はかなり詰められています。
  参考)Type-F の 170mmクランク先端部 Type-R の標準クランクはこれの長さ違いとなります。
どちらも SUN RACE PR06-210 で、
ペダル軸穴から先が無用に長く伸びている分、
タイヤ等と干渉し易くなります。
Type-RE のサンスター技研製ユニットのものには
このような先端部の余計な突出しはありません。
   チェーンリングの歯数について
 ママチャリ基準で算数レベルの割付
 Type-F と共用しただけとは言え、
お手本の bikeE よりも大きく立派なチェーンリングには正しさがあるのでしょうか?
 
 内装ギア中速でリア 17T のとき、ペダル1回転で進む距離がママチャリと同じになります。
17T という歯数のギアは付いていませんが、8速のど真ん中にあたります。
ざっくりですが、内装ギア高速はママチャリ以上、内装ギア低速はママチャリ以下のスピードレンジとなります。
とっても切り良くママチャリ基準で振り分けられた状態ですので、
疑わなければそれなりに運用できるはずではあります。
 
 ただ、27in.× 1-3/8 と速度の落ちやすい 20in.×1.75 を等し並みに扱うわけにはいかないでしょうし、
リアの歯数構成等、様々な条件を考えれば、現実的には少々ハイギアードで、
8速ギアを活かしきれないと思います。
 ギア比の現実性
 貧脚な私がハイギアードだと騒いでも説得力はありませんが、
内装ギア高速レンジでは 46T でも 63T に、56T なら 76T に化けるわけですから、
やはり 56T は車体の性格に対して強引すぎると思います。
 
 ちょっと気になりますので、両車の減速比を比べてみましょう。
Type-R bikeE AT
チェーンリングの歯数 56T 46T
内装変速機の減速比 136%−100%−73%
リヤスプロケットの歯数構成 11 - 12 - 14 - 16 - 18 - 21 - 26 - 32 11 - 13 - 15 - 18 - 21 - 24 - 28
数字ではいま一つ分かり辛いので、ギア比(チェーンリング歯数÷リア歯数)を下図に示します。
赤色が Type-R緑色が bikeE で、○囲み数字は1=1速(ローギア)となります。
 
56T(標準)
48T
43T
 
◆上段)Type-R 標準の 56T との比較。
 常用外とは言えトップ2枚の離れようは無駄の域で、8速あっても現実的には6速ギア。
 それ以外の常用域であるべきギアは意外にも似たようなものなので救われます。
 (車重、クランク長の違いから bikeE の方が軽快ということになります)
 
◆中段)48T(Type-RE と同じ)の場合。
 bikeE を基準にすれば無駄のない8速化といった感じで現実的。
  ただし、当の RE の歯数構成は(11・13・15・17・20・23・26・30T)で、本図とは異なります。
 
◆下段)私の 43T の場合。
 Type-R の前に出ようとしない性格に BIG APPLE の組み合わせでは、
 bikeE の基準からさらに低速側にシフトさせても妥当性は成立するはず・・・
 にしても、やり過ぎ感は見て取れます。 が、これで 3〜6速がちょうどいいんですよねぇ〜。
 (低速側へのシフトと言うよりも、ステップ比の問題だと思います)
 
56Tの見た目のbikeE臭を薄める効果は認めますが、実用性も薄まってますよ。
内装ギア中速レンジで常用域をしっかりカバーできないと、
かなり面倒臭い自転車になります。
 小さくするのに抵抗があっても
 私は Type-F の経験から、チェーンリングは計算上は 45T が良かろうと考えていましたが、
入手性と価格からサンツアー・シュパーブプロの 43T で妥協しました。
チェーンガード付きの Capreo よりもずっと安いし、品質も良さそうでしたので。
タイヤが 1.5 の場合だと、私でも軽すぎると感じるかもしれない微妙なところ。
こういうのは先入観を捨てて試してみないと分からないので、やったもの勝ち。
 
  同じ足(前=16×2.0/後=20×2.0)を持つ M5 CMPCT は 52T、HPV Spirit は 48Tのようです。
  bikeE (16×1.5/20×1.75) が 46Tであれば、
  チェーンリングの大きさは背もたれの角度と関係がありそうですね。
  走行性能に不利な Type-R に太いタイヤ (16×2.0/20×2.0) を履かせた私の場合は
  43Tで正解かもしれません。

 
         M5 CMPCTHPV Spirit
   世界一乗り易い理由 〜REはひとまず別にして
「 タイプRのRは『 リカンベント 』のこと。

ただし、ママチャリの気楽さを持った、世界一乗りやすいリカンベントを目指しました 」
ECO JAPAN 2007年3月23日 より  
だそうです。
確かに普段着での延長線上に捕らえるならば、その乗り易さに比肩するのはママチャリくらいでしょう。
とはいえ、交通道徳の意識が乏しい方の手に負えるようなモノではありませんから、
属する世界は全く別です。

 また、決定的に異なるのは、ママチャリの気楽さは抜群の完成度の高さがあって成立していることです。
激安とはいえ徹底的な計算ずくの果てですから、良くも悪くも中途半端な部分など存在しません。
使い捨てと言われようとも、それは、その気になれば最後までメンテフリーで通せるからこそのお話なのです。
シングルギアの自転車として、走りっぷりだって侮れません。
まさに日常のままに使える完璧さを有しています。 磨きの掛かった日本の文化、洗練の極みってやつですね。
対するRは、当たり前に使い続けられる安定性を装うには、洗練度が全く足りない仕上がりです。
そこの処を珍しさでスルーして、乗り易いってだけでママチャリの気楽さに連なろうとしても無理です。
 乗り易くてどう使う?
「普段着で楽しむリカンベント気分」というのが Type-R のすべてのような気がします。
その枠をはみ出して、運動着で SPD を使ったりヘルメットを被ったりして引き出せる良さなんて、
ほんとうはないんですよ、たぶん。 (注・ヘルメットの着用義務化以前の記述です)
 
 ですから本格的なパニアラックや、工夫次第という無責任なアクセサリーアダプターといった
専用追加装備に頼らず、無条件でデイバッグがポンと納まるくらいでないとだめです。
 (背もたれに引掛けるのは仕方なくですから、そういうのは無しです)
欲を出して、さもロングツーリングまでこなせる本格派と称していますが、
実態は暇潰しお出かけ用なんですから、何でも気軽にポン でなければなりません。
 
 どちらの要件も満たせない、中途半端なところが Type-R のサイアクなところです。
それでも何ほどか楽しいのは、子供が Jr. MTB で満たされるのと同じなわけですが、
こっちはもういい年した大人ですからねぇ。
「日本初」の「世界一乗りやすい」本格的リカンベントには、本格的な使い途がありません。
大人としての言い訳がし辛いものがあります。
 椅子取りゲームじゃありませんョ
 困りましたねぇ〜。 どこがどう本格的なのか分からなくなってしまいました。
冒頭近くで述べた通り、bikeE AT と同じ骨格でも走りは劣るのがRです。
Type-R は、実証済みの bikeE の範疇でコソコソと別物めかすことが開発(と言えるのか)目的であるかの
ごとき有様で、独自性・必然性はあまり感じられません。
 
 しかし、仔細に比べて見れば、ハンドルの近さと足元の低さというトレース誤差が、
bikeE 以上に「乗り易い」方向に振れているのは事実です。
要するに慣れない人でもとっつき易い、ということですね。
乗り出すにあたって特別な要件を満たす必要がありません。

 ・特殊性の撤廃は娯楽性の基本です。
 ・娯楽には無駄金も必要ですから、
 ・価格の高さも敷居の高さにはなりません。 
〜〜毎度の三段論法〜〜

 この誤差は伝統建築フレームデザインがもたらしたものですから、
bikeE 以上を狙った独自性と言えなくはないでしょう。 あくまで誤差程度のお話ですが。
 
 bikeE社倒産でbikeE製造が途絶えた状況では、空白の「世界一乗り易い」座に就くことが可能です。
しかし、bikeE は現存し、その功績は記憶に刻まれています。
椅子取りゲームのように「世界一乗り易い」と称されても、似ているだけでは困りますね。
正確には “乗り降りし易い” だけで、走らせ易いわけではありません。
   走行能力強化の暑い夏は過ぎ 〜ちょっとやりすぎ、しかし
 bikeEらしくなりましたが・・
 リアサスの穴位置を変更した結果、AT と比べて大き過ぎた座面と BB との落差は
25mm程度減少し、漕ぎはかなり改善されました。
ただ、同時にヘッド角が小さくなったためか、操安性に悪影響が出ているようです。
このタイプの基準は、やはり bikeE ということでしょう。
 
 また、穴位置変更は、簡単な DIY レベルの粗加工で済ませてしまいましたが、
その程度の細工で漕ぎの質そのものが明瞭に変化してしまうということは
設計・検証の在り方に問題有りです。
如何に結果が良くても、ユーザーが負うべきカスタマイズではないと思います。
 
 

上・左は私の Type-R です。 駆動系としてはベストな状態(2010年初秋)ですが、血色の悪い画像で印象が悪いですね。
漕ぎの質を考えれば、上・右の AT では何とかなるフェアリングも、Rでは担いきれるものではないでしょう。
(上画像を重ねてみました)
 落し処は幻想
 ノーマルはペダリングの効率が悪いものの、ゆったり感があり(何もないことの裏返し)、
 こちらは走っているぞ感があるものの、お気楽さが足りません。
 
 自転車である以上、当たり前な自転車としての走行能力が備わっていないと、
どんな魅力も支えきれなくなります。
したがって、損得勘定的にはペダリングに優れるこちらで一応の正解として良いのでしょうが、
ちょっと面白くありません。
走る能力を上げるとあちこちの不都合が表面化してきます。
 
 できるならば許せる程度にペダリングを犠牲にしても
ゆったり感を取り戻したほうが好ましいでしょう。
ただし、レベルを下げればどちらもそこそこ満足できるかのような幻想はよくありません。

 
 基本的に Type-R に両立を求めても無理だという現実が見えてきましたから、
ここまでやってしまえば納得できるものはあります。

多少譲歩したところで不満足の折り合いがつくわけではなさそうですし、
極の位置に留まるのが得策でしょう。

結局 bikeEでないといかんのかぃ、もぉうんざりやのぅ・・・

あれ、アメリカン過ぎてちょっと苦手やねん