チェーンオイルのお話 〜CPOとCPO-R

( CPOは廃番となり、CPO-RはCPO[R]となっています )
 参考にならない10年問題
 円陣家至高の CPO (Chain Penetration Oil) と、その高性能版の CPO-R という、
オートバイ用のチェーンオイルのお話です。
50ml入りで、それぞれの税抜き価格は \2,000-、\3,000-という高額商品にもかかわらず、
2004年に CPO を、翌年には CPO-R を買い足し、適当に使い分けてきましたが、
約10年経って、ついに CPO が空になりました。 CPO-R は残り7ml 弱です。
\5,000-で10年以上使えるのですから、コスパは悪くないように思えるのですが、、
どうなんでしょうね?
 
 10年も経てば世の中も知らぬうちに進化していますから、
判定期間として10年が必要というのではお話にならないんですよね。
2013年には CPO-R の新世代バージョン (2代目?) の登場が予告されていますし、
CPO も世代交代が行われています。 見た目は変わらなくとも中味は刷新されて行くのです。
残念ながら、私のお話は旧い初代の CPO と CPO-R の使用談となりますので、御了承願います。
《新CPO-Rはこちら》    
 
 持ちの良さなど使用頻度でころっと変わりますから、一本で何回使えるかが肝心です。
このオイルは、100均の注射器(オーデコロンの詰め替え用らしい)を使用して、
チェーンの隙間にチマチマと点付けしてゆく(術語として、動詞=チマる、名詞=チマリング)という、
リカンベントならずとも自転車的にはあほらしい集中力と忍耐力を要する注油法を採りますが、
一回当たりの使用量(吸い上げ量)は Type-R で 0.4〜0.5ml、Type-F は 0.35〜0.4ml 見当です。

(100均注射器の目盛はけっこう精度出てますが、吸い上げ時の空気溜りを含んだままのため、およその値)

一台分のチェーンで済む常識的な自転車ならば一本で150回程度は使えそうですから、
経済的と言えるでしょう。
注 油 記 録 CPO
( 50ml )
CPO-R
( 43.1ml )
Type-F (176 Links) 9 回 32 回
Type-R (204 Links) 36 回 33 回
合 計 使 用 回 数 45 回 65 回 110 回
合 計 使 用 量 (21.6ml) (29.3ml) (50.9ml)
使 途 不 明 量 (28.4ml) (13.8ml)
 上の表が記録にある使用実績ですが、使途不明量が大きいですね。
家人のママチャリへの使用量や、チェーンメンテとは別の使用量ということになりますが、
それだけではどうも計算が合わない・・・・。
10年の間に 10〜15ml 程度が揮発してしまったのかと疑ってもみましたが、
それよりも CPO を不注意でこぼしてしまったとかの方が、よほどありそうな事件です。
・・・でも、記憶がない。
十年一昔と言いますし、老化が進行して記憶が当てにならなくなるには十分な期間ですからね。
困りましたねぇ〜。
(2024/03 追記)

 2015 購入のおそらく第2世代であろう CPO[R] の減り具合も、明らかに使用量と帳尻が合いません。
これは確実に揮発していますね。 少々粘度が上がっている気はしますが支障はありません。
自転車オンリーでは、持ちが良すぎて損失を招く、量的には不経済なオイルとなります。
 
(2024/08 追記)

 新旧両製品とも10年間での変化は、揮発による減少と粘度の上昇、色が濃いめに、
といったところで、持続性は弱まるようですが、変質等はありません。
明瞭な変色、沈殿物の生成、異臭の発生等とは無縁な、当たり前に安心なオイルです。
 ということで個人的に過ぎる10年問題はお終いにして、とうに熱の冷めた今、
改めて私の知る旧い CPO、CPO-R について考えてみたいと思います。
これだけを飽きずに使い続けてきただけなので、大したお話ではありません。
 え〜っと、辛抱して使い続けたわけではなく、
ミラクルなケミカル探し(笑)に興味が尽きた結果ですので、念のため。
私の終着点はここになりました。
 あらためましてご紹介
 発売元のサイトですが、
ここではセカンドステージ With円陣家至高 http://hccweb1.bai.ne.jp/ss_es/ (リンク切れ) を挙げておきます。
以前は十分な商品解説を含んだ纏まりのあるサイトで、とても参考になったんですが、
更新停滞期やサイトの引っ越し等を経て縮小、ついにリンク切れとなってしまいました。
現在の円陣家至高の情報はウェブ上のあちこちにチラシが散逸したような有様です。
ユーザー・レビューに支えられているだけの感もあり、
価格の壁を乗り越えるべきか、初めて検討される方には不便だと思います。
“円陣家至高” とか “CPO” とか、実に怪しいネーミングですが、
認知度も実績も十分となったようで、それでもかまわないのでしょう。
非常に多忙で、興味を持った方のリサーチに応えられる情報源の復活までは手が回らない、
というのが実情かもしれません。 たぶんそうでしょう。
検索すればインプレッションや使用方法は沢山見つかります。

 オートバイと自転車では事情が異なり過ぎて参考にならないと思われるかもしれませんが、
そんなことはありません。
鍵穴に使用すれば見違えるほど操作が軽くなったりと、
日常生活の中にも適用できる使いやすさがあります。
かなり高性能に、しかしフレンドリーに。
 CPO(CPO-R)は自転車をどう変えるか 〜リカンベントの真理
 CPO の感触をしっかり把握できたのは、駆動系の素直な Type-F に使用していた二年間だけです。
後を引き継いだ Type-R は、メンテナンス時にはチェーンのたすき掛けを解除しますが、
内装変速機の抵抗と太いタイヤと長いチェーンの弛みが相まった、
まとわりつくような重さに加えてアイドラのOリングの弾性のせいで、
たすき掛けに戻した時にはさらにアイドラによるチェーンの捻れのせいで、手応えが冴えません。
これらの潤滑とは別の要因が、チェーンの動きに水を差していますので、
Type-F のように、注油の途中でチェーンの動きが軽くなる節目を感じることは無くなりました。
Type-R は、駆動系そのものがこのような観察に応えられるようなシロモノではないのです。
 
 見方を変えれば、
CPO がチェーンの潤滑に起因する問題を消しているせいで、他の要因が目立っていると言えます。
前後のギアが離れすぎていて、チェーンを直通で渡せないリカンベントは、
中間に何らかの中継・支持点を必要としますが、
この中継・支持点を通過する際の障害が露わになってくるわけです。
(チェーンチューブを筆頭に、はっきり言って強引なやり方が大半ですからね)
実用上の支障が無い程度で妥協している部分が目立ってくるのはいやなものです。
汚れにくくフリクションを感じさせない CPO は、
チェーンの長いリカンベントには、非常に有効であると同時に、
駆動系のあらを強調する諸刃の剣となります。
臭いものに蓋をできなくなるかもしれませんから、積極的には CPO をお薦めできません。
 
 私の Type-R のチェーンは204リンクで、リカンベントとしては短く、
チェーンは全て露出しておりますので、注油作業はそれなりに楽な部類ですが、
ここらあたりがチマるチェーン長さの限度だと思います。
本格的?なリカンベントであればさらにチェーンは長くなりますし、
チェーンチューブの使用が多くなって露出部が減少することもありますから、
2次関数的に注油の面倒が増します。
また、チェーンとチューブが擦れ合う抵抗・ノイズは注油しても大して変わらないでしょう。
これでは、かけた手間に対する効果・満足感は十分なものにはならないかもしれません。
やはりリカンベントにはお薦めし難い面があります。
 
 チェーンの引き回しに難のある Type-R では、
チェーンが無くなったかのような感触(大袈裟だけど当たらずとも遠からず)は享受できず、
CPO はもったいないのではと思われるかもしれません。
しかし、私という原動力を含めた駆動系全体に難があるからこそ、CPO という救いが必要なのです。
「Type-F で実証済み」という救いがあればこそ、
走りの質の悪さを嘆きつつも Type-R に乗り続けられるのです。
救いは今この時に活かされています。 まことにそう思います、、、アーメン。
 
 いつの間にか10年かぁ。
10年も経てば私ももう歳だし、何か確かなものを求めて宗教に近づきつつあるのか?
でもお釈迦様の真理は「諸行無常」ですからね。
知らぬ間に CPO は減ってしまいますし、新品の頃と10年後の今を比べれば、
CPO-R の効き目だって本当は徐々に悪くなってきていたはずです。
まことに現実は変化そのものである、という認識こそが確かなもののはず。
宗教に駆け込むにはまだ早いな。
 CPO と CPO-R の違いについて少し
 比べれば CPO-R のほうが少しねっとりしています。
走れば少ししっとり感があり、静粛性も上回っているような気がします。
オートバイでは飛び散りが少なくなっているそうなので、それに相当する効果かもしれません。
対する CPO にはペダルが後輪に直結したようなダイレクト感があります。
硬質ですっきりしています。

 潤滑の持ちは CPO-R のほうが優れるようですが、常に早めのメンテをしていたので、
かなり心情的な印象に過ぎません。
どこまで持つか辛抱するより、とっととメンテして美味しいところを味わった方がお得でしょう?
あ、失礼いたしました。 これは週末の暇潰し専用の私の場合です。
日々の自転車通勤などではメンテ間隔を延ばせることは重要ですね。

 では、オートバイ用だから自転車ならすごく持つのかというと、それはないです。
おっと訂正、そういう気配はありません。 持続性に過度の期待はしないでください。
一回の走行距離が短く、変化を直接感じ取る自転車の方がダメ出しは早くなります。
自転車には自転車の事情というものがありますからね。
そこは出来の良い自転車用チェーンオイルと同程度だと思います。
また、雨天走行やその後の手入れを含めた常用性を重視すれば、
手っ取り早く作業のできる普通のスプレータイプの方が適しているでしょう。
 
 話のついでに。
実は私、雨天走行の経験は一回しかありません。
お気楽が取り柄の自転車ですので、降水確率30%で走るのは中止です。
ですので、雨に対して CPO、CPO-R がどうなのか確かなことは分かりません。
ママチャリでは観察対象になりませんし。
 
 では CPO と CPO-R のどちらが適しているのか? 好ましいのか?
CPO-R が改良・上位バージョンであるという知識が刷り込まれた状態から実体験に入りますから、
期待感に支えられた強固な先入観がその証拠を探し出そうとします。
最初から答えありきなわけですが、現実に CPO のどこが劣るか? と問い直されれば困ってしまいます。

 CPO-R の方が良い、という確実な理由は「より興味がそそられるから」でしょう。
自転車に限ってはこれに尽きると思います。 上位を残して後から無駄な遍歴を重ねるよりも、
興味があるなら最初から CPO-R を買ってしまった方がすっきりします。

 私の場合は、さらに静粛性の違いから CPO-R の方に傾いてはいたのですが、
(本当に有意な違いがあるかどうかは自信なし。 静粛性ではなく振動の伝わり方の違いのような気も)
現在は価格の差を惜しんで、ただそれを追認しているだけです。
ここ数年、あまり走らなくなったので、どちらがいいのか興味も薄れてしまいました。
つまり、結局はどっちだってかまわないという事なんでしょうが、
チェーン周りのノイズが煩いリカンベントに対して、
CPO-R には「静粛性に優れる」と思わせる相性の良さが、確かにあると思います。
 怪音 ! 怪走 !  怪奇な姿  !!
 Type-F に乗っていたころ、サイクリングロードで悠々と流す OPTIMA らしきローレーサーに
追い越されたことがあるんですが、あの低さが災いして周りの様子を十分に見て取れないらしく、
ちょっと漕いではペダルを止め、を繰り返していたんです。
そやつはドンシャラ〜ドンシャラ〜と走っておりました。 色んな物を付けた走る村祭りです。
とんでもなくスピードは出そうでしたが、ただでさえ好奇の目に晒される高額な逸品が、
スクラップ前のポンコツ車のような低級ノイズに包まれていたのには驚きました。
「恥かく前に神速離脱」的な乗り物ですね。 一般人の感性は理解することを拒否してしまいます。

 そんなわけでリカンベントのノイズには、あれはいやだ、恥ずかしい、という思いがあります。
そして私もリカンベントの端くれに乗っております。 (ずっと普通な、正気で乗れるやつに)
そうです。 「風が吹けば桶屋が儲かる」的な連鎖の果てに CPO-R があります。
 CPO と CPO-R の良いところ
   その一) 臭いがありません。
ウェットタイプとしてはさらっとしていてベトつきません。
自転車を室内保管される場合に有利でしょう。
リカンベントの長いチェーンチューブ内面の汚れが気になる方にもよろしいかと。
   その二) 手が汚れても、100均のハンドソープで良く落ちます。
別の作業に移るのが非常に楽です。
うっかり汚れたチェーンに触れても後が楽です。
チェーンの汚れ自体にしつこさがありませんからね。
   その三) ホームセンターの特売クリーナーで簡単に落ちます。
洗浄が楽で、お財布にも優しい。
10段・11段といった過密なスプロケットの手入れも楽になりそうな気がしませんか?
   その四) 未確認ですが、新品のチェーンにそのまま使用しても浸透して効果を発揮するはずです。
最初に付いているあの頑強なオイルの簡単攻略法としていかがでしょう?
動きが軽くなって元のオイルを落としてくれるのならば万々歳です。
   その五) 余剰分は油ウエスに。
素直な性状のオイルですから、使いやすい油ウエスができます。
チェーン以外に使えないような専用オイルの不自由さとは無縁です。
え? 最近の自転車はそんなもの要らないんですか?

 何だか些末なお話が混ざってきておりますが、オイルの潤滑性能が素晴らしくても、
こういった部分が高性能の代償に取られていたりすると、
もっと使い勝手のいいやつが無いものかと目移りが絶えなくなったり、
専用品が専用品を呼び込んで手持ちが増える一方になるんじゃないでしょうか?
   その六) 小さくて場所を取らず、地味。 (よって用品を揃えています感は希薄)
必要なケミカルが最小限になりますから、
私のように自分のスペースとお小遣いに不自由する身には、非常に恩恵が大きくなります。
 
 最後に、もう一つ追加しておきましょう。
   その七) 不確定要素なし。
例えばドライタイプのオイルを使用して不満を感じる場合、
チェーンの洗浄が不十分、攪拌不足、気温が低い、放置時間が足りない、塗布の繰り返し不足、
等が脳裏を一瞬よぎります。
作業は入念に行っているつもりなので、
そういったことは半ば無自覚に否定して気にしないように振る舞うのですが、
やはりどこかに疑いを残したままになります。
ウェットタイプでも事情は同じです。

 とどのつまり、完璧なチェーン洗浄にこだわって、
注油後少し走っただけでオイルに黒ずみが出たりするとがっかりして、、、、。
 チェーンメンテはどうやって洗浄しようと、どういったオイルを使おうと、
やれば確実に走りが軽くなりますから、熱も入りますしこだわりも生じます。
そしてあるかどうかもわからない改善余地に常に追い立てられ始めて、
一生懸命チェーンを洗ってみたりするのです。
 
 CPO は面倒なことなど考える必要はなく、
とにかくチマってやりさえすればきちんと効果を出してくれます。
それ以上もそれ以下も無い、100%の仕事をしてくれます。
これは実際の作業を通じて伝わってきますし、走れば必ず実感できます。
 (何か宣伝臭いな。 言い過ぎたか。 もう少し距離を置かねば)
私にはこれ以上を望む必要はありません。
その先にある究極なんて、何か疑わしいじゃありませんか。
 (とは言うものの、2013年に予告された新世代バージョンは機会があれば試してみたいですね)
オイルの性能が十分に発揮されているのかという疑いから解放され、
その効果に自信が持てます。 心が楽になります。
もちろんそれは無自覚な領域ですよ。 単なる推測です。
10年間も使い続けていられるのは、無理して高性能の看板を信仰する必要が無いからです。
確かな効果は目の前の事実ですから、迷わずに済みますからね。

 となると、やっぱりチマリングという簡単な修行は必要ですね。
何の対価であるのかはっきりさせるものがあった方がよろしいでしょう?


 ストック中の CN-HG73。
ヤフオクで落札した “新車外し品” です。

 横道になりますが、
なぜこんなに汚いのかについて少しお話しいたします。

 入手後、出番が来ないまま何年か経って
オイルが硬くなってしまったので
特売クリーナーで洗浄するも、さすがに
最初に付いていたオイルの成れの果ては頑強で、
ほとんど落ちません。

そこで CRC 5-56 をたっぷりと吹き付けて
密封しておきました。
 しばらくして(1年かそれ以上)開けて見ると、CRC 5-56 はすっかり乾いて、
チェーンにはいたるところに赤錆が 、、、やっちゃいましたかぁ。
手に取るとそのままの形でごっそり持ちあがります。
立ててみるとサンゴみたいな広がり具合ですな。

 でもよく見ると赤錆ではなく、キャラメル並みに固くなったタバコのヤニのようなやつで、
どうやら CRC 5-56 で元のオイルが変質したものらしいです。
ならばと固まった可動部をぐりぐりほぐして再洗浄した後、
CPO-R(だったと思います)をチマって保管しているのがこの画像です。
防錆のためにプレートの外側だけ CPO-R を筆で塗り伸ばしています。

 もう2〜3年になると思いますがこちらは変質の気配は全くありませんし、
可動部の動きは CPO-R らしく軽いので、いつでもこのまま使える状態です。
錆のような色もかなり落ちてきているような気がします。
困ったときの CPO-R。 頼りになります。
 CPO と CPO-R の悪いところ
   その一) 私は平気ですが、使用法が面倒過ぎるので他人様にはお薦めし難いです。
でもしっかりメンテするなら、やたらと完璧にチェーン洗浄するよりも、
注油に手を掛ける方がよろしいのではないでしょうか。


 私は四点注しをしています。
プレートの隙間と、ローラーの両端にですが、
ローラーは片側だけでよいという方も
いらっしゃるでしょう。

 でも自転車はブッシュレスチェーンですから、
ローラーの下には両側のプレートから
押出し成形された半ブッシュの合わせ目があります。
この合わせ目に吸い込まれてなお反対側まで
浸透する量を注入せねばなりません。

(正確には合わせ目ではなく、すき間です。
 半ブッシュを突き合わせてもローラーの幅には
足りませんので、すき間ができます)
9速用チェーン CN-HG73 (105グレード) のローラーリンク
 それは明らかに付け過ぎになるような気がしますし、確実なやり方とは思えません。
が、ローラーの幅ってほんの僅かですからねぇ。 どうなんでしょう?
 自転車にどこまでやらねばならないのかという判断は人それぞれでいいんですけど、
とにかくこの手間では趣味の範疇でしか扱えません。 積極的にはお薦めいたしかねます。
実用たるママチャリや通勤号はその延長で、やりたい人向けの応用編です。
   その二) 攻撃性が無くて何処にでも使える万能オイルと思いきや、ある種のゴムにはダメなんですよ。
よりによって注油必需品の100均注射器のゴムパッキンを侵します。
ダメになるのはゴムだけですから、もう少し何とかならないものかと
100円にふさわしい範疇の対応策を考えたりするのですが、無理ですね。 諦めちゃいましょう。
使用後はピストンを抜いてゴムパッキンのクリーナー洗浄が欠かせませんが、
それで半年以上は持ちますから良しとしましょう。

 項目を増やすために分けてみましたが、
その一)+ その二)を纏めて注油の面倒臭さ、人には薦められない点となります。

追記)
 2015年購入の新 CPO[R] には、その二)の問題点はありませんでした。
CPO、CPO-R 共に、改良され続けていますから、本頁のお話は残念ながら昔話です。
   探し回ってその三) ケーブルのよりが崩れる。
CPO が付いたままのインナーケーブルをボルト締めすると、
ケーブルの芯線のよりが崩れてペシャンコになってしまいます。
単なる作業時の注意事項で、クリーナーで脱脂してから締め込めば大丈夫です。
   無理を承知でその四) 持ちが期待したほどではない。
この評価はもう人様ざまでしょう。 判断基準と、作業性×頻度=手間 の問題ですね。
面倒なチマリングの対価としての期待値は、どうしても大きくなってしまいます。
 比較・判断の拠り所
 どんなチェーンオイルを使ってきた上であれこれ言っているのか、
ということになりますが、残念ながら、大した経験値は持ち合わせておりません。
以下、今となっては怪しい10年前の記憶のままに。
   その一) フィニッシュライン テフロンプラス・ドライルブ(ボトル)
 ドライといっても白いテフロンの粉の混ざった通常の液体タイプで、
いわゆる赤キャップというやつです。
その名に恥じず、ウェットタイプのごてごてしたしつこさとは無縁のさらっとしたオイルで、
ドバッと出ても最後の拭き取り仕上げですっきりしますから、注油は気楽に行えます。
持ちは良くないので頻繁に注さねばなりませんが、クリーナーで簡単に落とせますから、
毎回洗浄してもことさら面倒ではありません。

 これはもう、チェーンメンテの事始めにうってつけではないでしょうか?
走れば「チャ〜」と軽快な音がしますし、楽しく基礎が磨けます。
ただ、どことなく上っ面な潤滑具合であるのと、チェーン以外には使えそうにないのが残念。
中が見えないボトルを一生懸命シェイクするのも何だかです。
   その二) フィニッシュライン クロスカントリーウェットルブ(ボトル)
 いわゆる緑キャップで、オイルも緑色。
特殊ポリマー配合で最強の潤滑・保護性能を謳う、持続力抜群の雨に強いタイプです。
エイリアンの血。
今も我が家にある長期滞留品(出番はほとんど無いが現役中)で、
化学製品としての安定性は CPO 以上のような気がします。

 潤滑やらがどうこうよりも、手に付けば洗っても臭いとベタつきがなかなか落ちず、
チェーンは砂塵を吸い付け易くてオイルはすぐに真っ黒になります。
ママチャリのチェーンとどう違うのか良くわからんような有様では、
趣味としての華が無く楽しくはありません。
メンテをすれば爪の間が真っ黒になり、
(お風呂で頭を洗えば爪の間もついでに綺麗になりますが)
臭いの残った手でご飯を食べねばなりません。
ゲトゲトになって押し出された油汚れに触れてしまった際には、
やっちまった感がひとしおです。 油断のならぬオイルです。
悪天候戦闘用ですから、晴天一時使用の私には全く不向きな品。
   その三) ホーザン C-15(ボトル)
 こちらは白いボトル。
さらっと浸透後に揮発分が抜けて粘度を上げて耐久性を高めるそうです。
なるほどの説得力です。
もたもたと作業してたら長いチェーンが一周する前に粘度が上がって、
馴染ませる時間が無くなってしまいそうなんですが、最初の浸透力だけで大丈夫みたいです。
価格を気にせず、源泉掛け流し方式で一気にやるのが正解?
でも一定にオイルを出し続けたり、定速でチェーンを送ったりするのは相当の難度ですし、
相当の無駄が出ます。

 粘りっ気はあまり表に出ず、ゲトゲトではなくパサパサになるタイプ。
蝋が混ざっているような。
チェーンの感触も軽くなるというよりは柔らかくなるといったところで、
どことなくオイル自体の “固さ” が原因のフリクションらしき “重さ” を残しています。
洗浄の際には側面も手を抜かずにブラッシングしないといけません。
どうにもいやだなと思わせる部分は無いので、こんなものかなといった印象です。
落し処がいまひとつ掴めないオイルですが、CPO の前にはこれに落ち着いていました。
こちらもチェーン以外にはいまひとつ使う気になりません。
 
 このころ(2004年まで)、
どのようなチェーンオイルが良いと思っていたのかと言いますと、
「きれいなチェーンで走れるオイル」です。
外から判断できるのは見た目の美しさだけですから、それを支えるオイルということです。
ピカピカの光り輝くチェーンで走り去るロードレーサーなんて、カッコいいじゃありませんか。
ショップで朝練終えて山から戻られた方の油汚れのないチェーン周りを見ると、
感心してしまいます。
お話を伺えば、「CRC 5-56 です。 やめとけって言われてるんですけど」。
 (店長、何とかしてあげて下さい)
 
 とにかく、注油後の拭き取りをしっかりやっておけばきれいなチェーンが出来上がりますし、
油汚れの塊がリヤディレーラーのプーリー等に堆積することも減少し、
きれいなチェーン周りが実現できます。
問題は、しっかり拭き取ってしまうと潤滑感が乏しくなってしまうことです。
どの程度まで拭き取って大丈夫なのか自信が持てませんし、
動きの滑らかさが損なわれない程度に抑えれば、けっこう汚れやすくなってしまいます。
あてにならない勘所に頼っていては結果が安定しません。

どのオイルを使っても、「これがいいのか」と頭で理解することはあっても、
「これはいい」と直に感じることはありませんでした。
  おわりに 
 チェーンオイルのお話がこんなに長くなるとは。
でも CPO は自転車の面白さをぐんと広げてくれたマジックアイテムですからね。
どういう理由でどうなのかはきちんとお伝えせねばと頑張ってみたのですが、、、
皆様も一本いかがでしょうか?
以上で、旧い CPO(-R) のお話はおわりです。
代わりまして、新しい CPO[R] のお話をいたします。
成分の約80%が刷新されたという別物となっておりますので、ぜひお読み下さい。
(2023/08 更新) 
 最新?の CPO [R]
 旧くなった CPO-R の持続力の低下が感じられるようになってきたので、
2015年新緑深まったGWのさ中、リピート購入を決意いたしました。
生活圏内に取扱店が無くなっていたので、(なんてこったい)
通販の送料負担を天秤に掛けて、CPO ではなく CPO[R] を選択。
めったに走らなくなった現状を考えると贅沢すぎる決断です。
使用中の第一世代から改良されているという情報はあるものの、
履歴が公開されておらず、現行品が何世代にあたるのかは不明です。
 
 注)https://www.engine845.com/artisan/artisan201304.htm によれば、
 2013/04 から遠からず、3世代目 CPO、2世代目 CPO[R] がリリースの予定となっているので、
 購入品はおそらく2世代目。

 
 新たに手にした “最新バージョン” かどうか判別できないのが少々気がかりな CPO[R] の効き目は、
流石に怪しくなった10年モノとは別モノです。
初めて CPO を Type-F に使ってみた時と同じですね。
テンションが上がるせいか、これまでの踏み応えで1〜2段重いギアが使えます。
が、そんな感覚のずれも翌日には身体に馴染んだペース、
つまり身体負荷と自転車に見合った車速とのバランスの中に吸収されます。
これまでも CPO-R だったのですから、プラシーボ効果を出せるほどの落差は無いようで、
CPO-R らしさが復活してもすぐに感覚が順応してしまいます。

 では、その効力の復活の度合いはどの程度のものになるのでしょうか?
単に10年前に戻っただけなのか、それ以上のものなのか?
残念ながら前述の通り、Type-R では正確な判断はできません。
客観的には、チマる際に糸を引かなくなっていること、
気持ち多めにチマっても、走行後にプレートの隙間に余剰分が押し出されないこと、
が確認できましたので、何らかの変更が行われているのは確かなようです。
 走ってみれば
 では、しばらく走ってみての感想ですが、新しい CPO[R] は一長一短で、
旧いものには無かった、はっきりと短所と呼べるものがひとつ見つかりました。
シャリシャリというノイズが出やすいのです。
濁音が少し混ざった、チェーンリングがチェーンを噛み締める際のノイズですが、
旧い CPO(-R) では気にならなかったものです。

 これまでのメンテ・インターバルの三分の二を過ぎた頃から出始め、
六分の五で見切りをつけて CPO[R] を注し足しました。
六分の五なら四捨五入して、とっととメンテ(チェーン洗浄&注油)したいところですが、
どっこい、チェーンは汚れていない、リヤ・スプロケも汚れていない、
チェーンリングは、、、これも大して汚れていない。
どう見てもチェーンを洗浄する必要が無いのです。
ウエスで乾拭きしてみても、取れる黒い油汚れはドライで少量です。
CPO[R] の余剰分が押し出されてこないので、油汚れがほとんど無いんですよ。
これはすごい ! ! 砂塵の付着も起こらない。
 
 新しい CPO[R] ではノイズと潤滑切れを等置できなくなったのでしょうか?
このノイズが出始めるとまだいけそうなチェーンの動きさえ疑わしくなって、
気持ちよく走れる距離は旧 CPO-R の六分の五以下になってしまいました。
 持続力は使用法による
 このように、洗浄後の初回注油分の快適走行距離は短くなりましたが、
注し足して以降は、メンテ・インターバルをかなり超過してもなお不調の兆しはなく、
その持続力は確実に旧 CPO-R を凌いでいます。
また、距離が延びても汚れの程度はさほど変わらないままなので、
汚れ落とし作業の負荷が増えることもありません。

 そこで、この持続力をチェーン洗浄直後の注油分から実現させることはできないものかと、
今度はがっつり多目にチマってみました。
一気に通常の 2.5〜3倍の大盤振る舞い(アホか)にもかかわらず、
直後に拭き取れた余剰分は少量です。
しかし、30km程走った後ではチェーンリングの歯がべっとりです。
まぁ、当然のやり過ぎた結果ですね。
チェーンリングとチェーンを再度拭き上げ、
その後は無事にこれまで通りのメンテ・インターバルを消化いたしました。

 つまり、過飽和に注油してもメンテの潮時は旧 CPO(-R) を越えられない、というのが結論です。
うまくチマればこれまで通りのメンテ・インターバルが実現できる、とも言えるわけですが、
調整が効くほどの量をチマっているわけではありませんから、無理ですね。
 
 よって、効果が切れたらそのまま注し足すという、
本来のオートバイ的使用法がよろしいのでしょうが、
・・ママチャリならそれで構わないのですが、、、
・・Type-R が如何にママチャリ的であろうと、
チェーンを取っ払った際にメンテしたい関連箇所もありますから、
私の流儀にはいまひとつ合わなくなってしまいました。 残念。
「その先にある究極」はオートバイ専用の狭き門となっていたようです。
かなり決戦向きな傾向を感じます。
 ひとまずまとめてみます
 では最後に、新 CPO[R] 自転車応用編のまとめです。
ドライ系のような面倒臭さとクリーンさを実現したウェット系オイル、
といったところでしょうか。

 チェーン洗浄後の注油では、キュルキュルとかチャラチャラとか、
ちと注油量が足りなかった(実感としてはどことなく “薄い” )のではなかろうかというノイズが出易く、
チェーン・メンテ後の無音で走る爽快感の保証なし。
面倒なチマリングの対価が不十分というのは決定的な減点要素です。

 適度に走って(150km〜?)、
チェーンの可動部にカスが出始めたところで再注油すれば持続力が高まるらしく、
カスのような介在物で保持されないと性能が出せない模様。
やはり薄い? のか 浸透性の問題? なのか、二度付けで本領発揮は
ドライ系オイルに見られる面倒臭さと通じるものを感じます。
また、多少なりとも汚れたチェーンに二度目の面倒を施すのは、
単に面倒なだけでなく、中途半端で気分のいいものではありません。
ノイズの発生=潤滑切れ=洗浄&注油ですっきり再生、が成り立たない間の悪さですね。

 新 CPO[R] ではノイズの受け止め方を変える必要がありそうですが、これはちと難しい、、。
 追 記
その一)
 寒さを理由に何ヶ月か乗らずにいたら、チェーンのローラーに錆が出ていました。
これまではプレートが錆びても、ローラーが錆びることは皆無でしたので、
新 CPO[R] に起因するものと思われます。
従来はギアとの噛み合いによって、ローラー表面にも自然に CPO(-R) が回り込んでいたのでしょうが、
新 CPO[R] はチマリングの際にチェーンの隙間にすべて吸い込まれて、その後も押し出されてこないために、
油分の転移・供給が全く途絶えてしまったようです。
これは摩耗の引き金となる汚れを寄せ付けない、円陣家至高の言うチェーンオイルの理想ではありますが、
防錆力という点ではどうなんでしょう?
オイル自体の潤滑力も防錆力もしっかりしているのに、
それらを個別に作用させねばならぬというのも面倒な話です。
CPO(-R) の油ウエスでさっと一撫ぜしておくだけで防錆は十分なのですが、
自転車のチェーンのローラーを全周となると事は簡単には済みません。
私は、チマリングの後、拭き取りとオイルアップを兼ねて油ウエスでごしごしやりますが、
ローラーにはその時の上下部分にしか触れることができませんし、
一撫ぜごとに都合よく回転してくれるはずもありません。
今回の錆も全周ではなく対角二ヶ所ですので、触れることのなかった部分に生じたもののようです。
意図的に一つづつ確認しながらやらないとローラー全周は無理なんですが、
そんなリアルにアホらしい、病的に執着した不健全な作業をするよりも、錆びる前に走りましょう。
まぁ、それが正論ではありますが、、、しかしですねぇ〜、、、。
 
その二)
 Type-R を手放した後、XDS W5 で引き続き使用する事になりましたが、
百均注射器のゴムの劣化が遅いように感じます。
これまでの経験ではそろそろゴムの表面に粘りが出始めても良さそうな頃合いのはずなんですが、
一向に気配がありません。
 追記)その後の経過観察から、百均注射器のゴムに対する攻撃性は無くなっていると判断いたしました。
2023盆休みに有力情報発見。 購入後8年目では遅きに失しましたが、、、
Tartaruga 買う奴ならこういう怪しいブツにも手を出すんだろうな、、、
と思われても仕方のない、託宣みたいなメーカー解説。  
円陣家至高独自開発のリキッドメタル配合製品です。
 
・ リキッドメタルとは?
 円陣家至高株式会社独自開発の液体金属の事です。
 
・ C.P.O.  &  C.P.O.[R]

 ご使用になるとチェーンが新品でも使用中のものでも、
しばらくの間カスやダストのようなチェーンにとって不要なものを排泄し
飛び散りますので清掃をして下さい。

 どんなに汚れていてもチェーンクリーナーなどを使用して
    クリーニングを絶対にしないことが秘訣です。


若干の錆びに対しては真鍮ブラシで擦ってからご使用下さい。
円陣家至高油類商・ワンポイント (https://www.engine845.com/one_point_chain.htm) より  
 私の2015年購入品の説明書は初代のものと同じで、このような注記はありませんでした。
私の使用感と一応話は合うものの、いつからこうなっているのかは不明。
また、これではどんな自転車にも、というわけにはいきませんよねぇ。
我が家のママチャリや XDS W5 や無印良品16型はチェーン洗浄無しで済ませていますから、
変わった使用法の高額な決戦オイルでも無駄にならずに済むんですが、
組み合わせとしてはよじれてしまっています。
オートバイがあって、そのおこぼれを頂くというのでないとだめですね。

 体感すれば分かるという旧き良き気配もまだ残っているようではありますが、
なぁ〜んだかチマリング以上に秘術的な使用法が、いつの間にか課せられていたとは驚きです。
・・まぁ、それはそれでいいんですが、情報発信はもう少し明確であって欲しいです。

   2024年8月リリースの CPO[BLACK] も上のワンポイントの対象のようですし、
  CPO はとうに廃番になっていますし、情報の整理が今ひとつで不親切。
  性能の提供が実践すべきことで、宣伝は二の次なのは分かりますが、
  妙な閉鎖感が漂っているような、、。


 現在の手持ち品の残量と年齢・体力から、あと一回買わねばならぬか微妙なところ。
癖のあるモノを使う知的体力はすでに怪しいので、最後も円陣家至高になるかどうかも微妙なところ。
 
至高なる油職人の作品を世間に伝える役職の力量が大切です。